米国の金利が下がり始めたら、フィリピン経済はどうなる?

最近、アメリカで政策金利の引き下げが始まりました。
この動きは世界中の金融市場に影響を与えています。
では、フィリピンにはどんな影響があるのでしょうか?
💵 1. 金利が下がると、お金の流れが変わる
アメリカの金利が高いと、投資家は「米ドル資産」にお金を置きやすくなります。
一方、金利が下がると、より高いリターンを求めて新興国(フィリピンなど)に資金が流れやすくなります。
つまり、フィリピンに海外資金が戻ってくるチャンスが出てくるのです。

出典:YCharts(米国金利)、Bangko Sentral ng Pilipinas(フィリピン金利)参考
青線は米国の連邦準備制度(FRB)が設定する実効フェデラル・ファンド金利、赤線はフィリピン中央銀行(BSP)が設定する政策金利を示しています。
2022年から2023年にかけて米国の金利は急上昇し、それに追随する形でフィリピンも利上げを行いましたが、
2025年に入り米国の金利は下落に転じ、フィリピンも段階的に利下げ局面に移行しています。
💱 2. ペソとドルの関係にも影響
アメリカの金利が下がると、ドルがやや弱くなる傾向があります。
すると、フィリピンペソが安定しやすくなり、輸入コストが下がるため、
物価(インフレ)を抑える効果も期待できます。
BSP(フィリピン中央銀行)もこうした動きを見ながら、
国内金利をゆっくり引き下げていく可能性があります。

出典:MUF Research参考
このグラフは2020年以降のUSD/PHP為替レートの動きを示しています。
米国の金利変動や世界的な経済情勢の影響を受けて、為替レートは上下動を繰り返しています。
フィリピンペソは米ドルに対して比較的安定的に推移しているものの、米国の金利動向がペソの為替レートにも影響を与えることがわかります。
🏘️ 3. 不動産市場には追い風?
金利が下がると、住宅ローンや企業融資の負担が軽くなります。
そのため、不動産購入・開発投資が活発化しやすい環境になります。
実際、フィリピンでは2025年にかけて利下げが進み、
借入コストが低下しているため、開発業者や投資家にとって好機となっています。

出典:Bangko Sentral ng Pilipinas
フィリピン中央銀行(BSP)が設定する政策金利の直近の推移を示しています。
2024年後半から2025年にかけて段階的な利下げが行われ、現在は約5.0%台にまで低下しています。
これにより、借入コストの低減が期待され、不動産市場にとっては追い風となっています。
📈 4. ただし、リスクも忘れずに
金利が下がると資金は動きやすくなりますが、
為替の変動や海外情勢によってペソ安リスクや輸入インフレが再燃することも。
投資を検討する際は、「為替リスク」「金利変動リスク」を常に意識しておきましょう。
🌺 まとめ
アメリカの金利低下は、フィリピンにとって基本的には「プラスの風」。
資金流入や借入コスト低下を通じて、経済と不動産市場に良い影響を与える可能性があります。
ただし、一時的な為替変動やインフレ要因には注意。
長期的には、安定した経済基盤づくりがフィリピンの成長を支える鍵となるでしょう。
出典:Bangko Sentral ng Pilipinas, Reuters, Bloomberg, World Bank
